シグマが新たに発表したフルサイズミラーレスカメラ「Sigma BF」は、「CP+2025」で長蛇の列ができたそうです。今まさにカメラファンの注目を一身に集める存在となっているようですね。

まず特徴的なのは「Sigma BF」の独創的なデザインと質感の高さです。アルミニウムインゴットから7時間かけて削り出すユニボディは、シグマのモノづくりに対するこだわりを強く感じさせます。この手法はAppleのMacBookシリーズなどでも採用されており、デザイン性と剛性を両立する上で非常に有効な手法です。ミラーレスカメラ市場ではプラスチックやマグネシウム合金を使用するメーカーが多い中、あえてアルミニウムを使用することで、プロダクトとしての存在感を際立たせているのが印象的です。

さらに、内蔵ストレージのみという選択も注目に値します。230GBの容量は、RAW撮影を多用するユーザーにとっては少し心もとないかもしれませんが、SDカードスロットを排したことでシンプルなデザインを追求するという意図が感じられます。また、USB Type-Cのみというインターフェース構成も、近年のモバイルデバイスのトレンドに沿っており、ユーザーの利便性を考慮した設計と言えるでしょう。

記事では、Sigma BFの持ちやすさについても触れられています。ユニボディながらサムグリップが設けられ、ローレット加工が施されるなど、手に馴染むデザインになっている点は非常に興味深いです。通常、ミラーレスカメラはグリップの大きさが握りやすさに直結しますが、Sigma BFは薄型ながらも持ちやすさを確保しているという点で、デザインと実用性を両立させていることが伺えます。

また、ユーザーインターフェース（UI）についても、MacBookのトラックパッドのような感圧式ボタンを採用している点は斬新です。従来の物理ボタンに比べて耐久性が高く、シームレスなデザインを実現できるため、ミニマルな美しさを求めるシグマの哲学が表れています。UIのシンプルさは、撮影時の視界のノイズを減らすという観点でもメリットがあり、特にプロのフォトグラファーや映像クリエイターには好まれる仕様ではないでしょうか。

それに、電源投入から1秒で撮影可能という点は、スナップ撮影や報道写真など、瞬間を捉えたい場面において大きなアドバンテージになります。また、ホイールの回転による写真送りのスムーズさや、AFの向上なども、実際の使用感を考慮した設計になっていることが伝わります。Sigma fpではコントラストAFのみだったため、動体撮影にはやや不安がありましたが、今回のハイブリッドAFの採用によってその弱点が克服されているのではないかと期待が持てます。

一方で、記事で指摘されているように、モードダイヤルがないことは操作性の面で一部ユーザーにとって不便に感じられる可能性があります。特に、写真と動画を頻繁に切り替えて撮影するユーザーにとって、画面内の設定メニューからモードを変更しなければならない点はやや煩雑です。これは、シンプルなデザインを優先した結果であることは理解できますが、プロフェッショナル用途としては直感的な操作性が求められるため、今後のファームウェアアップデートなどで改善の余地があるかもしれません。

38万5000円という設定は、ハイエンドモデルとしては適正な範囲にあると感じます。フルサイズミラーレス市場ではソニーのα7シリーズやキヤノンのEOS Rシリーズが競合となりますが、Sigma BFは独自の哲学を持った製品であり、一般的なカメラとは一線を画す魅力を持っています。この価格で質感の高いユニボディや高速なUI、シンプルなデザインを手に入れられるのであれば、シグマのファンやミニマルなデザインを好むユーザーにとっては十分に魅力的な選択肢となるでしょう。